Event / Report

5年後の生活をハックせよ!

NTTデータが2月18日、19日に開催した「Life Style Hackathon」は、
“5年後のあなたの生活をハック”が合言葉。
SEEDATAの「トライブデータ」とNTTデータの未来のテクノロジーを掛け合わせ、
大学生と社会人がしのぎを削りながら、新しいビジネスやサービスを生み出します。

学生の感性と情熱、アイディアが、
社会を変えうる力になる。

ハックするのは“社会そのもの”

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若さが企業の壁を越える

株式会社NTTデータ IT・サービスペイメント事業本部 ライフデジタル事業部長 林田敏之

株式会社NTTデータ IT・サービスペイメント事業本部 ライフデジタル事業部長 林田敏之

NTTデータの人事部が主催するハッカソンは今回で3回目。昨年までは大学生だけを対象に未来の製品やサービスを集中的に開発していましたが、今回は初めて社会人も参加しました。

大学生の柔軟な発想をもとにITでつくる未来を共創したいという思いと、社内を刺激するという狙いを持って本イベントを共催した、NTTデータのライフデジタル事業部の林田敏之は、「(NTTデータという)大企業の風土、文化、価値観を一度“ぶち壊して”新しいモノを生み出さなければならない時に来ている。若者の優れた感性や能力には、そのポテンシャルがある」とハッカソンへの期待を語ります。

また、続けて「NTTデータのビジネスの代表格であるSI(システムインテグレーション)事業は、利益を最大化するためだけではなく、社会にどんな価値を提供していくことができるのか、長期的視点に立って考えるために、今変わらなければならない」と話しました。

最新のマーケティング手法でアイディア加速

株式会社SEEDATA 宮井弘之さん(左)、宮下英大さん(右)

株式会社SEEDATA 宮井弘之さん(左)、宮下英大さん(右)

まず1日目の冒頭で5年後の生活をハックするために、最新のマーケティング手法についてのインプットトークを実施しました。講師は、株式会社SEEDATAの宮井弘之さんと宮下英大さん。SEEDATAは「トライブユーザーリサーチ」を使ったマーケティングを行うことで知られています。

「トライブ」とは、宮井さんによると「尖った生活者」。一歩先の生活をする尖った生活者である「トライブ」の特徴を抽出したデータからキートレンドを探り、新しい商品やサービスを開発します。SEEDATAでは400種類を越えるトライブのリサーチをストックしており、今回はその中から「ネオ農家」「Neo NOMADO」「WLB女子」「セルフ・リノベーター」の4つが紹介されました。

続いて宮下さんからは、それぞれのトライブについて特徴とキートレンドの説明がありました。例えばネオ農家は「IT農業」や「環境計測」を利用する傾向にあり、それはいずれ「(農業に付随する)判断指標が勘からデータに変わる」という世の中のキートレンドとして現れます。

ハッカソンの参加者たちはこのトライブデータをもとに新しいライフスタイルを考え、彼らにマッチする商品やサービスを考案します。5年後の生活をハックするだけでなく、社会そのものをハックしようとする試みなのです。

“見切り”で社会人有利?

ガジェットを吟味する学生たち

ガジェットを吟味する学生たち

宮井さんと宮下さんによるインプットの後、社会人チームは別室へ移り、アイディアソンに取り組みます。アイディアソンはトライブデータを利用したシナリオ・プランニング的手法で進められます。

学生チームはこの2日間に先立ち、事前にアイディアソンを実施していたため、そのままハッカソンへ突入。11時から昼食を挟み、社会人チームは16時からハッカソンを開始しました。

イベントタイムスケジュール

イベントタイムスケジュール

ハッカソンのコーディネートは株式会社HackCampが行います。会場には多数のガジェットが用意され、実装とプレゼンに向けてNTTデータとHackCampから総勢9名のメンターが学生たちをサポートします。「アイディアソン後に密に連絡を取り合っていた」というチームは、11時過ぎの早い時間からプログラミングに入ります。

その一方で、ガジェットを見て仕様を検討し直したり、テーマそのものを変更するチームもありました。メンターからは「実務経験がない学生には“見切りをつける”のが難しいのかもしれないが、どこかで『えいやっ』と始めないと。」といったアドバイスも。確かに、社会人チームは「ここまでしかできない、ここまでやる」という明確なゴールを持って作業に着手しています。

作業は一旦19時で終了し、会場では中間報告が行われました。各チームから取り組むテーマとつまずいている箇所などの状況報告があり、学生チームからはアンドロイドの開発やガジェットを動かすためのプログラミングなどでつまずいているという声が多く聞かれました。

会場を後にした参加者は、それぞれ施設内の宿泊場所で作業を続けました。学生チームの多くが夜遅くまでそれぞれの部屋や共有スペースなど思い思いの場所で作業し、メンターたちもそれに付き合います。

深更になっても頑張り続ける

深更になっても頑張り続ける

※1 SEEDATA

https://seedata.jp/

※2 シナリオ・プランニング的手法

未来のイメージから逆算し現在で必要なサービスやあったら便利なものを考えるワークショップ手法の1つ。

素直に「がんばる」ことが社会を変える

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目立ったチームビルドの良さ

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2日目早朝。寝落ちしてしまった学生の姿や、「ガジェットは会場でしか利用できないので、きちんと動くか不安で…」とスタッフと共に会場入りする学生の姿が見られます。

メンターたちに話を聞くと「サーバ系のプログラムは分かっているが、アンドロイド側が全然」と、ユーザー側の開発フェーズに関する知識や経験がないという指摘も。また、「工数の見積りがどうしても甘くなるので時間がかかる」「プログラムを実装する難しさが分かっていない」という厳しい意見もみられます。

しかし、口を揃えて褒めたのが「チームの雰囲気の良さ」でした。「僕らプロだって詰まってくるとチーム内でギスギスして喧嘩になることもある。でも学生たちにはそういうところが全然ない」と、あるメンター。

10時の正式スタート時、学生8チーム中4チームがコーディングを続け、残り4チームがデバイスチェックをしながらプレゼン準備にも着手という状況でした。

学生チーム、席巻

最優秀賞に輝いた学生チーム2(チーム名:突〇 となりの晩ご飯チーム)のメンバーと林田

最優秀賞に輝いた学生チーム2(チーム名:突〇 となりの晩ご飯チーム)のメンバーと林田

その後昼過ぎになっても進捗が「50%…」というチームもありましたが「できない部分は諦めたので80%になった」というチームのように、学生たちも15時半のゴールに向けて絞り込んでいくことができたようです。

最終発表は1チームにつき3分のプレゼン、2分のQ&Aの時間が与えられました。審査員は以下の5名です。

・リープマインド株式会社 代表取締役CEOの松田総一さん
・キャスタリア株式会社 代表取締役 社長の山脇智志さん
・株式会社Activista CCOの泉愛さん
・NTT西日本株式会社ビジネスデザイン部ビジネスクリエーション部門アライアンスプロデューサーの中村正敏さん
・株式会社NTTデータ IT・サービスペイメント事業本部 ライフデジタル事業部長の林田敏之

審査基準は「テーマ性」「新規性」「実現性」の3点。テーマ性ではトライブデータをいかに活用したかが問われます。実現性は主にデモで計られます。学生チームの中には最終的にデモの稼働までたどり着けなかったチームも散見されましたが、社会人チームは短時間でできる範囲を実装させたデモをきれいにまとめ上げており、その点はさすがというべきかもしれません。

最終発表の結果、最優秀賞を勝ち取ったのは学生チーム2「Meshiuma」、優秀賞は学生チーム8「I MIRROR」、社会人チームC「Joshido」。特別賞として、ガジェットを提供したビュージックス・コーポレーションから「Vuzix賞」が学生チーム1「Vieux Voyage」に贈られ、蓋を開けてみたら学生チームが社会人チームを圧倒するという結果となりました。

発表順。グレーのA~Cチームが社会人チーム

発表順。グレーのA~Cチームが社会人チーム

素直に、情熱的に

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審査発表に伴う講評では、Vuzix賞のプレゼンターを務めたビュージックス・コーポレーションの藤井慶一郎さんが、2年前に父親が定年退職したばかりであることを話し、「高齢化が進むこれからの時代を先取りしている」と評価。優秀賞「I MIRROR」については松田さんが「何千年も変わっていない鏡を変えようとする意欲的アイディア」と高く評価しています。また、最優秀賞「Meshiuma」については、林田から実現性、ビジネス的な可能性、現実的な課題へ切り込んでいる点などが優れていたとのコメントがありました。

結果発表の後は学生、社会人、審査員、スタッフ入り混じっての懇親会となりました。ある学生にハッカソン全体の感想を聞くと「NTTデータがこんなに面白い会社だとは思わなかった」というコメントが。

最優秀賞を取った「Meshiuma」は、「最初の段階で作るもののイメージを共有できたのが良かった」と話しています。また、このアイディアにたどり着いたのが、アイディアソンで伝授された思考法を、素直に丁寧に繰り返したことであることも明かしています。林田も「学生たちがこんなに頑張れたのは、チームの仲間がいたからだと思う。やるぞ!という情熱と仲間がいることでできた貴重な経験だったのでは」と話しています。

社会を変えていく力とは、そんな素直さと情熱と、その思いを共有できる仲間たちとともに育まれる。そう感じさせるハッカソンとなったのでした。