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INFORIUM 第4号

企業広報誌「INFORIUM」は、社会や技術が進展するなか、今生まれつつある未来への萌芽や優れたForesight(先見性)を取り上げ、グローバルビジネスにおいて価値ある輝きを放つ情報をお届けしています。 本誌を読む(PDF版)

編集長 小崎哲哉

編集長コラム(1)

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いつもご愛読ありがとうございます。小誌はこの6月に第5号を刊行します。2014年6月の創刊以来、特別編集号『INFORIUM plus』を入れると6冊目となるわけですが、前身に当たる『KAERURYOKU』は2009年から2013年にかけて計12冊を刊行しました。さらに遡れば、2002年から2008年まで続けたウェブマガジン『先見日記』があります。3つのメディアの編集方針は少しずつ異なりますが、同じ(株)NTTデータの広報媒体として、共通する点ももちろんあります。

●3つのメディアの共通点と相違点

vol1-image01『先見日記』http://www.nttdata.com/jp/ja/diary/diarylist/は、故・赤瀬川原平、片岡義男、坂本龍一の各氏ら、のべ16人の書き手にエッセイを連載していただいたものです。それぞれ週に1度の掲載だったので厳密に言えば「日記」ではありませんが、ソーシャルメディア、特にブログに先駆ける存在ではありました。毎回丁寧に編集・校正を施したので、自発性と速報性を重んじるあまり拙速に陥りかねないブログ一般に比べ、きちんとしたものになったと自負しています。各寄稿家の「先見性」に満ちた卓見は、いま読み返してもまったく古びていません。

vol1-image02『KAERURYOKU』http://www.nttdata.com/jp/ja/corporate/profile/pr/magazine/の誌名は、当時のNTTデータのメッセージ「変える力を、ともに生み出す。」から取りました。毎号、「変化」「変革」に関わる特集を組みましたが、SIer(システムインテグレーター)であるNTTデータの方向性に鑑み、「発酵が世界を救う」「フジロックのごみの行方」「クルマ社会を変える モビリティ新世紀」「社会インフラとしてのコンビニ」「仕事と生活を変える スローとシェア」など、社会の新しいトレンドの背景に、何らかのシステム性が働いている事象を紹介するように努めました。巻頭に掲載したインタビューは、特集と即かず離れずという原則でインタビュイーを選び、建築家の安藤忠雄、音楽家の坂本龍一、生物学者の福岡伸一、医師の日野原重明、狂言師の野村萬斎、グラフィックデザイナーの佐藤卓、なでしこジャパン監督(当時)の佐々木則夫、魚類学者でイラストレーターのさかなクンら、各界で活躍する方々から刺激的なお話を伺うことができました。

vol1-image03『INFORIUM』http://www.nttdata.com/jp/ja/corporate/profile/pr/magazine/の特集と巻頭インタビューも、『KAERURYOKU』の方針を受け継いでいます。特集テーマとインタビュイーの距離は「即かず離れず」よりも少しだけ縮めてみました。「未来へ!」と題する特集を組んだ創刊号では、インタビュイーは宇宙飛行士の毛利衛氏。「持続へ!」の2号は小説家で環境保護活動家のC.W.ニコル氏。「歴史へ!」の3号はアーティストの杉本博司氏。「宙へ!」の4号は映画監督の押井守氏。どの方からも、深い洞察に満ちた中身の濃いお話を伺えましたが、最も印象的で記憶に残っているのは、ニコルさんが再生させた長野県黒姫にある「アファンの森」の緑と、そこを案内して下さったご本人の見事な太鼓腹でしょうか(失礼!>ニコルさん)。

●「共有」「共感」から「想像力」へ

『先見日記』と『KAERURYOKU』と『INFORIUM』。この3メディアに共通するものは何か? テーマや寄稿家はときに重なりますが、それだけではありません。キーワードという形にすれば「共有」と「共感」、そして「想像力」となるでしょう。情報や状況や体験を共有し、寄稿家やインタビュイーの意見に共感し、読者の方々とともに未来に向けて想像力を働かせること。それが我々スタッフの目指してきたことであり、読者のみなさんも同様にしていただければと願っていることです。

『KAERURYOKU』創刊号の特集は「類人猿をまねる 類人猿にまなぶ」というものでした。取材させていただいた京都大学霊長類研究所の松沢哲郎所長(当時)は、「天才チンパンジー」として知られるアイちゃんを育てた霊長類学の泰斗で、『想像するちから』(岩波書店)https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0056170/top.htmlという書物を著しています。同書によれば、チンパンジーと人間は母親と子供が目と目を見つめ合う、微笑み合う。兄弟姉妹が同じことをして遊ぶ、真似をする。家族が同じものを一緒に食べる。大人同士であればあくびが伝染する。ところがニホンザルなどのサル、つまり類人猿でない霊長類には、こうしたことがまったく見られないそうです。

だとすれば人間と大型類人猿は、他の生物が持っていない「気持ちや行動を共有する」という能力を有していることになります。もちろんそれは完全に同じ性質のものではなく、例えば人間の子供は、少し大きくなると「お母さんにもこのイチゴあげる」というふうに互恵性を発揮しますが、チンパンジーの場合、母親が子供に利他性を発揮して食べ物を与えることはあっても、その逆はないとのことです。だから「共有」とは呼べても「共感」と呼ぶのはおそらく言いすぎでしょう。

決定的に違うのは想像力で、松沢先生曰く「チンパンジーは、『今、ここの世界』に生きている」。だから我々のように、未来に思いを馳せたり、絶望したり希望を持ったりすることはありません。想像力を持っているのは、生き物の中では我々人間だけなのです。より良き社会の実現は、ひとえに我々の想像力にかかっていると言えるでしょう。その想像力は、共有と共感の上に広げてこそ意味のあるものになるのだと思います。

「共有・共感・想像力」をキーワードに、これからも面白く、そして人間的な誌面づくりに努めたいと思います。ITは、そしてSIerは幸せな社会の実現にどのように寄与できるか。みなさんとともに考えてゆければありがたい限りです。誌面やこのウェブサイトをご覧になってのご意見・ご感想を、ぜひお寄せ下さい。

おざき・てつや1955年、東京生まれ、京都在住。ウェブマガジン『REALTOKYO』『REALKYOTO』発行人兼編集長。1989年に創刊された新潮社の文化情報誌『03 TOKYO Calling』副編集長を務めた後、インターネットワールドエキスポ1996日本テーマ館『Sensorium』、愛知万博テーマ普及誌『くくのち』、ウェブマガジン『先見日記』のエディトリアルディレクターを歴任。CD-ROMブック『デジタル歌舞伎エンサイクロペディア』、写真集『百年の愚行』などを企画編集し、和英バイリンガルの現代アート雑誌『ART iT』を創刊した。京都造形芸術大学大学院学術研究センター客員研究員、同大大学院および愛知県立芸術大学講師。あいちトリエンナーレ2013のパフォーミングアーツ統括プロデューサーも担当した。2014年12月、編著者として『続・百年の愚行』を上梓。刊行後も続く愚かな事件や事象の情報をアップデートするウェブサイト『百年の愚行』も運営している。

特集「宙へ!」 リソース集

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広報誌INFORIUM第4号の特集は「宙(そら)へ! 衛星ビジネスの現在」。
編集部が参考にした書籍やウェブサイトから、面白かったものを集めてみました。

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NASA
言わずと知れたアメリカ航空宇宙局のウェブサイト。特集扉に掲載したSpace X 社の物資補給船Dragonの写真も収録されている。

Space X
物資補給船Dragonや、Dragonを軌道に乗せるための2段式打ち上げロケットFalcon 9などを開発したSpace X 社のウェブサイト。


ITmedia 連載 石田真康(A.T.カーニー)「宇宙ビジネスの新潮流」
特集監修者の連載コラム。米欧日など世界の宇宙ビジネス最新情報が紹介され、豊富なデータに基づいた的確な分析が示される。


EUTELSAT
ユーテルサットはフランスの通信衛星運営企業。FACEBOOKと連携し、衛星インターネットサービスをアフリカで展開する予定。


HAKUTO
特集で紹介した、ロボット探査機による月面探査を目指す民間発のチームのウェブサイト。日本は世界的レースの勝者になれるか?


au×HAKUTO MOON CHALLENGE
ローンチしたばかりのau×HAKUTOのスペシャルサイト。豊富な記事や対談などで、壮大なプロジェクトの全貌を紹介する。

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アクセルスペース 衛星画像ギャラリー
特集で紹介した「人工衛星のオーダーメイド」を手がける企業が協力して打ち上げた「ほどよし1号」の撮影した画像が見られる。

ASTROSCALE's mission is to address the growing threat of space debris, incubating on-orbit services and raising public awareness to space environmental issues.
アストロスケール社
特集で紹介した、いまや大問題となっている、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去に取り組む日本の民間ベンチャーのウェブサイト。

JAXAの人工衛星だいち(ALOS)の衛星画像を使って数値標高モデル(DEM)で全球の陸地地形を表現。世界最高精度の全世界3D地図データを、NTTデータとRESTECが提供します。
AW3D公式サイト
NTTデータが開発した「AW3D」の公式サイト。リモートセンシング技術を駆使して提供する世界最高精度の全世界デジタル3D地図。

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ARTSAT
多摩美術大学と東京大学が協働する「衛星芸術プロジェクト」のウェブサイト。人工衛星や宇宙機によるアートとは何か?

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『宇宙の地図 Cosmic Atlas』(観山正見+小久保英一郎著)
地球から宇宙の果てまでを一望できる「宇宙の地図」。レイ&チャールズ・イームズ「Powers of Ten」の進化版ともいえる1冊。