2016. 11. 02 Update !

イマ旬

稼動音から異常を検知するIoTソリューション

製造業において、IoT技術を活用し、設備機器から取得したデータの分析・活用することで、製造品質の向上、設備保全の高度化につなげる取り組みが始まっています。今回はそのひとつである新しいIoTソリューションをご紹介します。

福山景子
株式会社NTTデータ 豊洲イノベーションセンター INFORIUM
 福山景子

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IoT

稼動音から異音を検知

工場で機器の不具合が発生すると、最悪の場合、生産ラインを止めなければならず、大きな損失につながります。これまでは、工場の熟練技術者による長年の経験や勘に頼って機器の不具合を発見し、メンテナンスを行っていましたが、少子高齢化による労働人口の減少やベテラン技術者の大量退職などに伴い、今後ますますベテランのノウハウ継承が難しくなっていくことが予想されます。

それを補うために、これまでにも異常時のデータを蓄積して機器の不具合を発見するソリューションは数多くありましたが、過去に発生した異常事象にあてはまらない場合もあり、全ての異常を検知することは困難でした。

そこで、NTTデータは、このような問題を解決するために、NTTメディアインテリジェンス研究所の異常音検知技術を用いて、異常時のデータを蓄積するのではなく、正常時の稼動音との乖離具合から異音を検出する「異音検知ソリューション」を開発しました。これにより、工場などの設備機器の稼動音解析から、適切な保全作業の実施、設備機器の故障頻度の削減・稼動率の向上をはかることができます。

図1 異常音判定イメージ

図1 異常音判定イメージ

このソリューションの特長は、市販の汎用機器(パソコンとマイク)を組み合わせることで簡単に利用できるため、高価な音響解析専用機が不要であることです。また、クラウドの活用により、オンラインでの遠隔監視も可能になります。複数拠点に設置された多くの設備機器の状況を一元監視することができるため、監視業務の効率化をはかることができるのも、大きなメリットのひとつです。

さらに、設備機器に設置したマイクからリアルタイムで稼動音を収集し、環境音や雑音を除去した上で、異音の発生を可視化することもできます。
これまでベテラン技術者の耳で判断していた異音を、客観性に基づいて判別することが可能となり、メンテナンス・予防保全の高度化につなげることができます。

CEATEC JAPAN 2016への出展

2016年11月からのサービス開始に先立ち、2016年10月4日(火)~7日(金)までの期間、千葉・幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2016」において、異音検知ソリューションを出展しました。今回は、実際に大手造船会社の工場における実証実験で使ったマイクやオーディオインターフェース、ノートパソコンを展示し、簡易な装置で高度な解析ができることをご覧いただきました。

CEATEC JAPAN 2016で展示した機材 中央下がオーディオインターフェースとピンマイク、右下が解析用ノートパソコン

CEATEC JAPAN 2016で展示した機材
中央下がオーディオインターフェースとピンマイク、右下が解析用ノートパソコン

来場された方には、製造業やインフラ設備部門、音解析の研究者の方などが多く、「現状では、技術者や保守員が耳(アナログ)で異常を判断しているケースがあり、このソリューションを活用して可視化したい」という声が聞かれるなど、高い関心を示していただきました。まさに、ベテラン技術者のノウハウ継承に対する課題認識の表れと言えるでしょう。

今後は、AI技術を活用することで、より精度の高い予防保全のソリューションを目指すとともに、製造業のみならず、さまざまな分野での活用を展開していきたいと考えています。

※1 異常音検知技術

技術の核となるNTTメディアインテリジェンス研究所の「異常音検知装置、その方法、およびプログラム」は、独自解析モデルとして現在特許出願中。

※3 CEATEC JAPAN

「エレクトロニクスショー」と「COM JAPAN」の2つの展示会を統合し2000年から開始された、アジア最大級のIT技術の国際展示会。毎年10月に幕張メッセで開催されている。